す。
平成七年の全海難の実に六七%が漁船でして、全国の三八%に比べても高い割合となっています。
また海難の種類では横関故障が二八隻、転覆が二一隻と多く、この二種須で約三四%を占めています。さらに海難発生原因は、七〇%が操船不適切、見張り不十分、運航の過誤等のいわゆる「人為的要因」です。

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西山 そうしますと防止対策についてはいかがですか。
赤石 ええ、そういう海難発生原因に焦点を合わせて海難防止指導講習会や海上安全教室を開いたり、訪船指導を行っています。またタンカー・カーフェリーを対象とした安全運航総点検も実施しています。
西山 昔から北海道は漁船が多く、あるいは、当管区内水域での操業漁船が多いということもありますが、相変わらず漁船海難が多いですね。
赤石 残念ながらこの点が当管内における海難の特徴と言えるでしょう。北海道では、このような漁船の海難防止と総合的な諸対策に関する事業を行うために昭和四十九年「北海道漁船海難防止センター」が設立され、漁船の海難防止に関する啓発や広報、機器開発や研究といった事業を行っています。
また日本水難救済会北海道支部は、道内に一〇九の救難所と七四の救難支所を有し、七千人を越える所員を擁する全国の水難救済会支部でも最大の組織となっています。同支部では平成七年度には出動五七件、出動人員延べ一、五一五名で五三名を救助するという実績を残しています。
当本部としましても、これらの団体につきましては積極的に協力、指導を行い救助活動ならびに漁船海難の防止に全力をあげているところです。
オレンジベストの着用

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西山 なるほど。民間における海難防止活動も活発に行われているようですね。
それから、北海道ではオレンジべスト着用の推進に熱心なようですが。
赤石 そうです。特に漁船については、管内漁船の大部分が五トン未満の小型漁船でして、近年の漁船乗組員の減少、高齢化の流れのなかで一人乗りの小型漁船も多くなっていて、海中転落事故や作業中の人身事故が急増しています。
このため、先程もお話しましたように、北海道漁船海難防止センターと協力しまして、漁業者に対し海難防止思想の普及、啓蒙を図っています。その中で救命衣(オレンジベスト)の着用の推進には特に盛り上がりがあり、先般小樽で開かれました「漁船海難防止全道大会」におきましても「オレンジベスト着用推進大会」といった雰囲気でした。このことは大変いい傾向だと思っています。
西山 救命衣も改善が加えられて、作業性の良いものがでてきたそうですから、小型漁船やレジャーボートでは、常時救命衣を着用するように当協会としても呼びかけたいと思います。
それに、救命衣というよりは、オレンジベストというほうが若者うけしてよいと思いますね。ところで、プレジャーボートの関係は如何でしょうか。
赤石 プレジャーボートの海難はここ数年二〇隻前後で推移して

 

 

 

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